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多くの神社仏閣が立ち並び、歴史的に貴重な建築物や芸術工芸品がたくさんある奈良。宗教的、文化的に日本に大きな影響を与えてきました。近年は旅行先としても人気で、美しい歴史的建造物や日本伝統を一目見ようと多くの観光客が連日押し寄せています。奈良は盆地のため、人々は山の自然豊かな土地を活かし、農作物を作って暮らしてきました。
郷土料理には地場で取れる豊富な野菜や山の恵みである猪肉などを使ったものなどが多くあります。また海に囲まれていない奈良では魚を傷ませずに保存する知恵も用いられてきました。漬物やそうめんなど、今となっては一般的になった食べ物のルーツも奈良にあると言われています。今回はいまや奈良名物となっている郷土料理のついて楽しく学んでいきましょう。
奈良県は一年を通して概ね穏やかな気候をしていますが、南北に縦長の形をしているため、場所によって気候は大きく変わります。また北部に大和川と淀川、南部にかけて紀の川、南部に熊野川と大きな川を有志、山に囲まれた土地の条件も相まって、盆地特有の夏は蒸し暑く、冬は底冷えしやすいという内陸性気候になります。
さらに大台ヶ原山のある南東山地は夏の雨量は極めて多く、冬は厳しい寒さになるという、水害なども多い土地柄です。
忘れてはいけないのが「大和茶」。1200年の歴史をもつ由緒正しいお茶です。昼夜の温度差が激しい奈良を活かして、上質な香りの日本茶が出来上がります。「大和鶏」も奈良料理には欠かせません。有名な名古屋コーチン、シャモなどを掛け合わせた弾力のある鶏肉で、飛鳥鍋など奈良の郷土料理に必ず入っている食材です。
山に囲まれた奈良では、たんぱく源が乏しかった時代に猪肉や熊肉を食する文化もありました。今でも郷土料理として受け継がれており、臭みの少ない調理法でふるまい料理として愛されています。また奈良の地場で採れる「大和野菜」の歴史は古く、古事記などの伝承にも残っています。ステーキにも使える肉厚な「大和丸なす」や小松菜のような「大和まな」などがそれに含まれます。
奈良の酒造りの歴史は古く、室町時代に奈良市の正暦寺で作られたのが始まりではないかと言われています。南都諸広は奈良の潤った土壌、豊かな水など様々な条件が重なり、かなり高質な酒だったそうです。酒造りの際にでる酒かすを使った漬物が奈良漬けです。その起源はなんと1300年前。奈良中筋町の医者が幕府の献上品として持って行き、その後庶民の間でも広まっていきました。
奈良時代にできたため、「奈良漬け」という名前になり、それは蒸し暑い夏でも野菜を長く保存する奈良の人の知恵でした。もちろんお家でも作ることができます。歯ごたえの良い白瓜を酒かす、砂糖、塩と漬け込むと、酒のいい香りが漂うおいしい奈良漬けになります。
奈良の名物として人気が高いものと言えば、柿の葉寿司。シャリの上にサバや鮭が乗ったお寿司を柿の葉で巻いてあり、お土産としても有名ですね。奈良は海に囲まれていないため、熊野灘で取れた魚を熊野と吉野を繋ぐ熊野古道を使って運ぶ必要がありました。鮮度が落ちないよう、大量の塩を魚の腹に詰め込んで傷むのを遅らせ、塩サバにしていました。
さらにそれを殺菌効果、防腐作用のあるタンニンが含まれる柿の葉で巻くという柿の葉寿司に発展していきます。サバの臭みも取れて一石二鳥。大変おいしく、特別な日には欠かせない郷土料理になりました。家でも、しめ鯖、柿の葉、酢飯があればおしゃれな四角い柿の葉寿司を作ることができます。
今でこそ牛乳を使ったミルキーな鍋は主流ですが、飛鳥時代には大変珍しいものでした。唐の使者が乳製品を日本に伝えたのが始まりです。その後明日香村の修行僧が牛乳で鶏肉を炊いたことで今の飛鳥鍋になりました。昆布やかつおだしをベースに、地場産の野菜、地鶏を牛乳で煮ると、冬には心底あったまるおいしい鍋になります。
明日香村にいくと飛鳥鍋が食べられる料亭もたくさんあり、観光の名物になっています。ぜひ訪れた際は肉のうま味と牛乳の甘味が体に染みこむ、おいしい鍋を味わってみましょう。
奈良茶飯と聞くとお茶漬けと勘違いしそうですが、実はお茶で炊いた炊き込みご飯のようなもの。東大寺僧侶などが好んで食べており、のちに庶民にも広がったと言われています。米だけでなく、粟、大豆、小豆などを穀物をお茶の煎じ汁で炊き上げます。栄養豊富なうえ、腹持ちも良く、昔の健康食だったのですね。
奈良県ではまだ奈良茶飯と呼ばれていなかった時代、浅草金竜山の茶屋が「奈良茶屋」と名付けて売ったことから、この名前が広まっていきました。ヘルシーフードとして今でも十分人気が出そうな郷土料理です。
とう奈寿司とは、塩漬けした高菜を手一杯に広げ、ご飯を巻いて作る、おにぎりのような郷土料理です。めはり寿司という名前でも知られています。吉野の人にとって、イベントの際のお弁当はとう奈寿司が定番。ガブッとかぶりつけるので食べやすく、塩や唐辛子などが入っているため腐りにくいというメリットもあります。
吉野の山では高菜がどっさり採れます。それを一年中長く楽しみたいという保存目的で作られ始めたのが「とう奈漬」。これだけでもコリコリした食感で十分おいしいですが、ご飯を巻くとさらに味わいぶか深くなります。奈良吉野の家庭の味ですが、最近はお土産としても有名です。お家でも簡単に作れますので、お弁当にぜひ作ってみてはいかがですか?
茶粥のルーツは、有名な大和茶を使った茶粥を僧侶が食べ、その後庶民に広まったとされています。ほうじ茶を煎じ、茶袋を引き上げてから米を入れてサラッと炊き上げます。米が溶け出してドロッとなっていないのが奈良の茶粥の特徴です。米の食感とうま味を残した状態でいただきます。
入れる具はその家、その季節で様々で、サツマイモ、かき餅などを入れることもあったようです。あっさり塩味で、夏バテの時にもおいしくサラッと食べられます。奈良漬けと一緒に食べても良いでしょう。今までは庶民の料理でしたが、最近は観光客向けに、天ぷらやゴマ豆腐などとセットにした豪華な茶粥が料亭でいただけます。
おやきといえば長野県名物の郷土料理ですが、奈良にも万葉おやきというものがあります。一般的なおやきは小麦粉を使った生地に様々な旬野菜を入れて焼いたお総菜系おやつです。奈良のおやきは小麦粉とそば粉をブレンドし、発酵させたものを生地にしているため、香ばしさとモチモチした食感が特徴です。また薄味仕立てで素材の味が際立つようにしているのも注目ポイントです。
特におすすめは野沢菜の入ったおやき。素朴な味わいが病みつきになってしまいます。お土産としても買って帰る観光客が多く、人気ですよ。お家に残った漬物がある際は、おやきにして日持ちさせるのも良いでしょう。
奈良県桜井市を中心とする三輪地方は、そうめん発祥の地も言われています。小麦栽培が盛んで、乾燥させれば日持ちするそうめんは「三輪そうめん」として伊勢神宮参拝客の間で瞬く間に有名になり、全国に広まりました。夏は汁につけてツルっとそのままで、冬は暖かいにゅう麺にして一年中奈良で楽しまれています。
三輪地方では奈良時代からそうめんの原型、麦縄というものがありましたが、その後糸のように細いそうめんが作られ、のど越しの良さが評判になりました。今でも三輪そうめんは夏の贈り物の定番ですよね。
山々に囲まれた奈良県では昔から狩猟が盛んでした。海から離れており、魚を頻繁に食べられない奈良の人にとって、猪肉は大切なたんぱく源だったと考えられています。強いにおいを消すため、ネギや水菜、菊名などの香菜と味噌で味付けしています。寒い盆地の冬を乗り切るため、温かく栄養価の高い鍋は貴重だったのでしょう。
今でも山間地帯では、捕ってきたきたばかりの新鮮な猪をさばいてもてなす、郷土料理のお店がたくさんあります。その日とったものをすぐ解体、処理すると臭いが抑えられ、新鮮なしし鍋を楽しむことができます。
ツルンとした柔らかい食感のわらび餅に黄粉や黒砂糖をかけて食べると絶品ですね。このわらび餅は奈良が発祥ではないかと言われています。その理由として、奈良はわらび粉の名産地であり、古くは平安時代に醍醐天皇の好物だったという記録も残されていることが挙げられます。室町時代になると、京都のお茶と和菓子の文化と合わさって、日本の伝統菓子に発展していきました。
昔はわらびの根からつくられるわらび粉を使っていたので、今より黒っぽいわらび餅だったと考えられています。今はタピオカ粉などで代用されるようになり、綺麗な透明なわらび餅が主流になっていますね。粉とグラニュー糖、水、きなこなど少ない材料で作れるので、お家で作ってみるのはいかがですか?
ショウガの名産地である明日香村では、昔からショウガが収穫できると、甘辛く調理し、一年分の佃煮をつくっていたそうです。各家庭で味付けの方法が少しずつ異なり、その味は代々お母さんからお嫁さんへと受け継がれてきました。ショウガの佃煮はまさに奈良の人のおふくろの味なんですね。
血行促進や冷え対策としてもヘルシーフードなショウガの佃煮。おにぎりの具としても使われています。最近は道の駅やサービスエリアなどでも買えるため、人気のお土産品の定番です。新ショウガがあれば、ぜひお家でも作ってみましょう。夏バテ防止のおいしい一品になります。
奈良の有名観光名所にいくと、よく目にするのが大きな玉こんにゃくを串にさしたもの。奈良県大和高原やその他東部の山間地にはこんにゃく芋が自生しており、戦後、害獣被害の少ないこんにゃく芋を肥やし作ったこんにゃくが、県全体で一般的に食されるようになりました。
奈良は水に恵まれた土地なので、美しい水を使ってつくるこんにゃくは弾力と歯ごたえがあり、人気が高いです。長方形のこんにゃくを串にさしたものや、コロコロ丸いこんにゃくを田楽味噌につけて食べたりします。今や行楽シーズンやおせち料理、精進料理に欠かせないものになっています。
奈良では、古くから牛を守護神とする天神さまの冥福を祈る秋の天神祭りを祝った歴史があります。そこ時は牛ではなくかしわ(鶏肉)を使ったすき焼きが降るわまれました。その名残から、今でも親戚が集まる際やイベントの時は、牛肉の代わりに鶏肉を使ったすき焼きが作られます。歴史を通じて今なお残る郷土料理です。
鍋には、鶏肉の他にキノコ類、水菜の他に松茸を入れる習慣もあり、薫り高い鍋になります。
神社仏閣が多いならでは、精進料理の一つとして昔から白和えが親しまれてきました。白和えとは豆腐に砂糖、塩、いりごまなどを入れて和えた和え物のこと。一年を通して白和えを食べるのが一般的になっていますが、特に秋は柿を入れて甘酸っぱく仕上げるのが奈良風のようです。
実は奈良は柿の収穫量が日本第二位。柿をそのまま食べるだけでなく、料理に加えることで、秋の味覚を楽しむようです。
奈良県は海こそないですが、川は多いため昔から鮎が親しまれてきました。旬の時期は鮎の塩焼きも名物ですが、日持ちさせる保存食として広まったのが鮎のうま煮です。うま煮とは、下処理をした鮎をしょうゆや砂糖、酒でじっくり煮た甘露煮のようなもの。ご飯のお供にぴったりです。
今も奈良の川近くの料亭では、郷土料理の一品として出されています。もちろんご家庭でも作れますので、お酒のおつまみに作り置きしてみるのはいかがでしょう。
柚餅子と聞くと、愛知県などで伝わるお茶菓子のようなイメージがありますが、奈良県十津川村に代々伝わる郷土料理は全くそれとは異なります。収穫したゆずの中身をくりぬき、中に味噌、くるみやしいたけ、大豆などを詰め込み、蒸して作る完全な保存食です。スライスしておつまみのように食べる人もいれば、お弁当のおかずとして使用する人もいて、用途は様々です。
ゆずで有名な十津川村は、果実はポン酢や柿の葉寿司作りに使い、残った皮も残さず食べる目的で柚餅子が生まれました。食べれるものを余すことなく食すという昔の人の知恵ですね。作り方の動画も載せておきますが、十津川村の地味噌を使わないと真の柚餅子の味にはならないとのこと。実際に出向いて食べてみるのが一番のようです。
奈良の歴史は古く、郷土料理のルーツを知ると感慨深いものがあります。土地の特徴や名産を活かして作られた郷土料理を味わってみるのも旅行のだいご味の一つですね。ぜひ足を運んだ際は、昔の人の知恵や伝統がたくさん詰まった料理を試してみましょう。