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「大分県って温泉以外に何があるの?」と思っている方、実は大分の郷土料理って意外と身近にあるんです。例えばコンビニで鶏めしのおにぎりや、うどん屋さんなどに置いてあるとり天は大分発祥の名物です。他にも地産地消の地元ならではの料理、県民に愛され続ける大人気のお菓子などを風土と歴史を踏まえて徹底解説します!
大分県は全体的に温暖で降水量が少なく、山間部を除き冬に雪が降ることはほとんどありません。瀬戸内海の端っこに位置しているため、北部から中部は年間降水量が1800mm以下と年中乾燥しています。逆に西部と南部といった内陸部は夏は雷雨、冬は晴天の気候が多いです。特に西部の日田盆地は、夏は暑く冬は寒いと気候が厳しく、毎年夏は全国最高気温を叩き出しています。
大分県は鶏肉の消費量が全国一ということもあり、鶏肉を使った料理が多いです。また、大分(豊後)の戦国大名であった大友宗麟にちなんだ料理や、豊かな豊後水道の海の幸を使った料理も多いです。加えて米があまりとれない土地のため、昔から倹約料理・粉料理が発達しています。基本的に物価が安く、新鮮な食材が安価で手に入ります。
大分の郷土料理といったらやはりこれです! かなり有名なのですが意外と歴史は新しく、1926年(大正15年)に宮本四郎氏が別府市に開業した「レストラン東洋軒」という中華料理店が発祥とされています。大分県ではとり天があまりにも人気なため、全国共通の料理だと勘違いしている県民も多いです。
ただの鳥のてんぷらと侮るなかれ。一口大に切った鶏肉を各店に伝わる秘伝のタレにつけ込み、天ぷら粉でからりと揚げたものですが、唐揚げよりさっぱりとしていて衣がフワッサクッとしています。ポン酢・酢じょう油にからしをつけていただきます。鶏肉の部位は胸肉、モモ肉、ササミを使用しており、ニンニクや生姜、酒、砂糖を加えたしょう油ベースのタレに漬け込みます。
とり天の次に真っ先に思い浮かべる大分名物となるとだんご汁です。だんごといっても一般的な丸めただんごではなく、小麦を水で練ってうどんのように細長く手でのばしたもののことを言います。大分県は降水量も平地も少なかったため、このような小麦を使う料理が数多く存在します。昭和30年代までは各家庭の日常的な主食でもありました。
四季の野菜を入れ、みそで味付けをします。なので特に具材は決まっていませんが、店で食べるものは里芋、にんじん、大根、ごぼう、鶏肉(場合によっては豚肉)が入っており、七味や柚子胡椒をお好みで入れていただきます。だんごは薄力粉と強力粉を2:1で混ぜた物をぬるま湯で練り、30~40分寝かせたのち手延べして汁の中に直接入れます。
大分のソウルフードともいえる大人から子供まで人気が高い炊き込みご飯です。大分では「吉野鶏めし」が有名で、スーパーのお惣菜コーナーによく置かれています。昔から何か行事があると村人たちで米とごぼう、鶏肉を持ち寄り、客人をもてなす一品として受け継がれてきました。大分市吉野地区に嫁いだお嫁さんが代々守ってきた郷土の味で、大分県の一村一品にも指定されています。
材料は米、ごぼう、鶏肉のみとシンプルです。しょう油と砂糖で煮込んだ具材を八分炊きのご飯と混ぜ合わせて二度炊きします。「吉野鶏めし」では具材だけを真空パックしたものもお土産として売られており、炊き立てご飯と混ぜるだけで鶏めしができると人気の商品です。大分に旅行に来た方は、是非ともお土産にどうぞ!
やせうまは大分県に昔から伝わる家庭のおやつです。だんご汁と同じく、小麦を水で練ったものを手で細長くのばし、塩ゆでして砂糖ときな粉をまぶします。名の由来には諸説ありますが、変安時代にある貴族が『八瀬(やせ)』という名の乳母に作られたものがおいしかったため、「八瀬、うま」と乳母の八瀬にねだったからという説が現在では有力です。
作り方はだんご汁のだんごと同じですが、こちらは薄力粉のみで作るレシピが多いです。店で出されるやせうまは、すでにきな粉と砂糖がかかっているものや、自分で砂糖の量を調節するものもあります。もちろんお土産としてスーパーでも売られていますが、大分県民は自分たちで一から作る場合が多いです。素朴な味ですが、ほっとするようなおいしいお菓子です。
鮑(アワビ)の腸と書いて『ほうちょう』と呼びます。実際はアワビではなく、長さ2mにわたる長いうどんのような名物です。大分の戦国大名であった大友宗麟はアワビが大好物でした。毎年献上されるアワビを楽しみにしていましたが、あるとき不作で献上するアワビがなく、困った家臣が苦肉の策として小麦を練ったものをアワビの腸に似せて作ったことが由来とされています。
作り方はうどんの作り方とほとんど変わりませんが、麺は切らずに手で細く長くのばします。生地は成形前と後で二回寝かします。つけ汁はしいたけ、イリコ、昆布の合わせ出汁にしょう油とみりんで味付けをし、食べる前にカボスを絞って薬味を入れていただきます。
温泉で有名な大分ならではの料理で、地獄と呼ばれる間欠泉温泉から噴き出す高温の蒸気で食材を蒸した蒸し料理です。地獄蒸しは江戸時代から伝わる調理法で、素材のうまみを凝縮し、余分な脂が落とすヘルシーでおいしい食べ方です。硫黄の香りで食材の臭みを消してくれるので蒸し料理独特の臭いがしません。地獄蒸しは別府市の温泉の中でも水温が高い鉄輪温泉で体験できます。
休日になると自分たちで食材を持ち寄り、好きな食材を蒸して楽しむ家族連れでにぎわいます。使う食材は魚介類や野菜、イモ類、卵、鶏肉や豚肉などで、塩かポン酢でいただきます。デザートに地獄蒸しプリンも楽しめます。また食材が蒸し上がるまでの間、足湯に入ってのんびりくつろぎながら待つこともできるので、GWなどの長期休暇中は人気のスポットです。
さつまいもが入った素朴なお菓子です。昔から農家のおやつとして親しまれ、冬から春にかけての農作業の小昼に食べられていたそうです。名の由来はごろごろ入ったさつまいもが、ごつごつとした石垣を連想させるため。もちと呼ばれますが実際には蒸し饅頭に近いです。各家庭で作られてきたものなので、名称やさつまいもの切り方、小麦の分量、食感も地域によって異なります。
材料はさつまいも、小麦粉、片栗粉、塩とシンプルです。最近は砂糖とベーキングパウダーを使った現代風のアレンジレシピも見られます。作り方は粉類と塩を合わせてふるった後、サイコロ状に切ったさつまいもと水を加えて耳たぶくらいの固さに練り、4、5cmの団子にして蒸す。熱々をはふはふしながら食べてもよし、冷めてもおいしい昔ながらの懐かしい味がするお菓子です。
昔から漁師町として栄える佐伯市に伝わる漁師のまかない飯です。獲れたての魚をさばいて海水でさっと洗い、甘辛いしょう油のタレに漬け込んで熱々のご飯の上にのっけて食べるので温飯(あつめし)と呼ばれます。仕事の合間、船の上で作ることを前提としているため火は一切使いません。
主として使われる魚は、蒲江を含む約260kmにわたるリアス式海岸で獲れたアジ、サバ、ブリです。最後には出汁を注いでお茶漬けとしていただきます。大分では他にも似た料理があり、マグロだけを使っているひゅうが丼、ご飯はなく魚だけのりゅうきゅうがあります。りゅうきゅうは大分の居酒屋であれば大抵置いてある看板メニューであり、名物として紹介されることもあります。
ごまだしとは佐伯市で生まれた有名な調味料です。大量に魚が獲れた時に、食べきれない分の魚を保存食にしようと漁師町の奥さんが考案したものです。新鮮な魚を使わないと臭みが出てしまうので、漁師町ならではの調味料といえます。ごまだしうどんはその名の通り、ごまだしを使った名物です。
ごまだしの作り方は焼いた白身魚をゴマと一緒にすりつぶし、しょう油、砂糖、みりんで味付けをしたものです。魚は頭と内臓以外は骨まですべて入っています。ごまだしうどんは茹でたうどんの上にごまだしと薬味をかけただけのシンプルな一品ですが、ごまだしが立派な出汁になってくれるので他の味付け入りません。魚はエソ、アジ、シイラ、タイが使われますが、エソが一般的です。
佐伯市米水津町の郷土料理で、祝い事や祭りの時に二日間かけて丁寧に作られ、訪問客などにふるまわれるお祝いの品です。頭や尾をつけたまま丸ごと使用するため、もしくは頭から丸ごと食べられるので丸ずしと呼ばれます。
新鮮なアジを背開きにさばいて内臓と骨を取り、酢と塩でしめて中に酢飯を詰めて梅酢に漬け込んだ赤紫蘇で包みます。アジは中骨や小骨も取っているので全部食べられます。しっぽを掴んで頭からかぶりつくのが地元流の食べ方とか。家庭によっては味のお腹の中にわさびを塗っているところもあるようです。
刺身の切り身におからをまぶした倹約料理です。昔、臼杵藩は財政難に陥ることが多く、そのたびに倹約令を出して食べ物まで細かく規制してしのいでいました。名の由来は刺身にきらず(おから)をまめした(まぶした)ことから。刺身は切れ端を使い、安いおからでかさ増しをした倹約料理ですが、栄養も抜群でおいしいです。食べる直前にカボスを絞っていただきます。
作り方はブリ、カツオ、ハマチ、サバ、シビなどの切り身をしょう油に30分ほど浸し、おからを粘りが出るまで混ぜ、みじん切りにしたネギや春菊を加えるだけです。食べる直前に混ぜるのがポイントです。
おうはん、きはんと読みます。その名の通り、クチナシで黄色く色づけしたご飯です。『かやく』と呼ばれるけんちん汁に似た汁物と一緒にいただきます。財政難になることが多かった臼杵藩の殿様が赤飯の代わりに食べ、家臣にもふるまったことが始まりと言われています。現在では臼杵市を代表する有名な郷土料理となっています。
黄飯は刻んだクチナシを水につけて色を出し、その水でご飯を炊きます。かやくは崩した豆腐、ごぼう、にんじん、大根、エソと呼ばれる白身魚のミンチを炒め、出汁を加えてしょう油で味付けをして完成です。地域によっては黄飯の上にかやくをかけてお茶漬けのようにして食べる所もあります。黄飯のレシピは14分ごろからですので動画を参考にしてみてください。
竹田市名物のお菓子です。石垣もちと同じく農家のお菓子で、作業の合間に食べられていました。形は一般的なもちと違い、薄く平べったいせんべいのような形をしています。中の餡も餡子だけでなく、さつまいも餡やかぼちゃ餡、みそ餡と様々です。地元では近所のおばあちゃんがよく作ってくれるお菓子で、子供の頃ゆでもちを食べたという大分県民は多いでしょう。
作り方は石垣もち同様シンプルで、水で練った小麦を平たくのばし、餡を押し広げながら平たく包んでゆでて完成です。端から端までぎっしりと餡がつまっていて、一個でわりとお腹いっぱいになる腹持ち抜群のおやつです。皮をいかに薄く破かずに包むかが腕の見せ所です。
宇佐市を流れる川に生息するツガニ(モズクガニ)を使った料理です。川で獲ったカニを生きたまま包丁でぶつ切りにし、石臼と杵で粉々にすりおろして鍋で煮込むという野性味あふれる一品です。余すところなく使われているため、カニのエキスが汁に溶け込んで大変美味です。今は一般家庭であまり作られませんが、郷土料理として残そうと地域の寄り合いで作られ続けています。
現在ではミキサーを使う調理法が一般的です。生きたカニをよく水洗いしてミキサーにかけ、ざるでこしてペースト状にしたら出汁と高菜を加えて鍋で煮込みます。こされたカニのペーストはゆがくとだんだん固まって高菜にとまり、出汁は済んだ色になります。
杵築市では昔、鯛しばり漁(網で魚の群れを巻き込んで次第に絡めていく漁獲法)が盛んで鯛がよく水揚げされていました。ある日、殿様の突然の巡行に慌てた漁民たちは、獲れたての鯛をさばいてお茶漬けにして出したところ、殿様はあまりのおいしさに「うれしいのう」と大変喜ばれたそうです。以来、うれしのと呼ばれるようになったといいます。
今では高価な鯛ではなく、安価な鮮魚を使ったうれしのが杵築・国東地域で郷土料理として伝わっています。
作り方はみりん、砂糖、刺身しょう油、だし汁で作ったタレに切り身の鯛をつけ込み、ご飯の上に切り身と薬味を乗せてお茶をかけていただきます。もちろんそのまま丼として食べてもおいしい一品です。
日田地域で作られている代表的な名物です。うるかとは塩辛のことで、新鮮な鮎の内臓を塩漬けにしたものです。内臓だけを使用する「にがうるか」、白子と真子を使用する「真子うるか」、身も使用する「身うるか」の三種類があります。特に有名なのは鮎を残さず使う身うるかです。
うるかは獲れる時期が限られる鮎の保存食として生まれた発酵食品で、胃腸の消化を助ける高級品として昔から珍重されてきました。ご飯のお供や酒の肴として人気が高いです。作り方は身や内臓を包丁でミンチ状にし、塩を加えて一週間ほど熟成させます。獲れたての新鮮な鮎を必要とするため一般家庭では作られません。なすや里芋と煮物にしたり、味噌汁に少量加えていただきます。
大分は物価も安く、新鮮な食材が手軽に手に入るのでどの郷土料理もお手ごろな価格で楽しめます。皆さんも大分に来たら温泉を満喫しつつ、郷土料理を堪能してみてはいかがでしょうか? 心身ともにリフレッシュされ、しかもだんだん薄くなっていく財布に頭を悩まされずに済みますよ!